第一章・全36話中 5話

第五話 夢の中の彼女は昨日からずっと俺の恋人らしい

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 前日の昼、玄兎たちは約束どおり四人で駅前の焼肉店へ行った。網の上では脂が弾け、店を出る頃には、誰の服にも同じ香ばしい匂いが染みついていた。

 一晩たてば少しは薄れると思っていたのだが、翌朝、朽木ヶ丘大学の第二講義棟へ入った途端、白狼院小毬が待ち構えていたように玄兎へ身を寄せてきた。

「先輩。昨日、ちゃんとお風呂入りました?」

「入ったよ。まだ匂う?」

 小毬は玄兎の肩口へ鼻先を近づけ、すん、と小さく息を吸う。

「牛タンとカルビ。それから、にんにく焼きも一つ」

「そこまで残るのか……」

「昨日、おいしいって言ってたよ」

 背後から千燈が楽しそうに口を挟んだ。三年生の彼女は、この時間に二年生向けの講義へ用があるはずもない。

「何でいるんですか」

「暇だったから」

「その理由で他学年の講義室まで来る人、初めて見ました」

「玄兎くんがいるから、って言った方が嬉しい?」

「警戒します」

「似たようなものだね」

 そこへ透羽も現れた。白いブラウスに淡い水色のカーディガン、片手にはいつものペットボトルの水がある。

「千燈。講義が始まる前には出てください」

「はいはい。朝から厳しいなあ」

 小毬は今度は透羽へ向き直った。

「透羽先輩も焼肉の匂いが残ってます。玄兎先輩と同じ匂いがちょっと強いです」

「同じ網で食事をしたので当然です」

「でも昨日、玄兎先輩のお皿に何度もお肉を移して――」

「白狼院さん。そろそろ着席してください」

「はーい」

 玄兎は苦笑しながら窓側の席へ鞄を置いた。

「そこ、私の席」

 背後から聞こえた声に、なぜか胸の奥がかすかにざわついた。

 振り返ると、長い淡銀紫の髪をした少女が立っていた。銀に近い髪は朝の光を受けたところだけ薄い藤色を帯び、瞳は淡い青紫。服装は現代的なのに、袖やスカートへ重ねられた薄布が折り畳まれた蝶の羽を思わせた。

「指定席だっけ、この講義」

「違う。でも、いつも私が座ってる」

「いつも?」

 少女は玄兎の隣を指した。

「玄兎は、いつもそこ」

「俺の名前、知ってるの?」

「先生が出席を取るから」

「なるほど。俺たち、話したことある?」

「今日が初めて」

 それなのに彼女の声には、初対面の相手へ向ける距離がなかった。

「蝶ヶ森さん」

 透羽が呼ぶと、少女は自然に振り向いた。

「透羽」

「……私のことも?」

「同じ学年だから」

 玄兎が透羽を見ると、彼女は一瞬だけ考えてから答えた。

「蝶ヶ森依澄。同じ二年生です。この講義にも以前から出ています」

「知り合い?」

「知ってはいます。ただ……いつから認識していたのか、と聞かれると少し曖昧です」

 妙な言い方だった。

 千燈も依澄の顔を覗き込み、いつものからかう笑みを少しだけ薄める。

「依澄ちゃん。私と会ったことある?」

「たぶん、ある」

「どこで?」

「分からない」

 その隣で、小毬だけが黙っていた。

「小毬?」

「……変な匂いです」

 小毬は依澄へ一歩近づき、慎重に鼻を動かす。

「人の匂いもします。でも、それより強いのが混じってて……雨の日の朝、目が覚めたのに夢だけまだ頭に残ってる時みたいな匂いです」

「匂いの説明として難易度高いな」

「私だって困ってます!」

 依澄は怒るでもなく小毬を見つめた。

「私の匂い、嫌?」

「嫌じゃないです」

「なら、よかった」

 ほんの少しだけ、依澄が笑った。

 その表情を見た瞬間、玄兎の胸を既視感がかすめた。

 ――知っている。

 理由もなくそう思った。けれど、いつ、どこで、と記憶を手繰ろうとすると、形は夢のように崩れていった。

 講義が始まり、山本教授が出席を取る。

「鵺代玄兎」

「はい」

「鷺宮透羽」

「はい」

 何人かを挟んで、当然のように名前が呼ばれた。

「蝶ヶ森依澄」

「はい」

 名簿には確かに依澄の名前があり、教授も彼女を以前から受講している学生として扱っていた。それだけなら、何もおかしくない。

 ところが講義が夢の記憶についての話へ移ると、隣の依澄が小さく眉を寄せた。

「夢って、消える?」

 玄兎にだけ聞こえる声だった。

「全部じゃないけど、普通はかなり忘れるだろ」

「私は昨日の夢を覚えてる」

「それなら珍しくないんじゃない?」

「あなたの夢だったけれど」

 玄兎のペンが止まった。

「……俺の?」

「うん。黒い水と、大きな月。小さい玄兎がいた」

 背中を冷たい指でなぞられたような感覚がした。

 二日前、千燈が《血読》で拾った幼い頃の断片と似すぎている。

「誰かが、あなたを抱いてた」

「誰が?」

「顔は見えなかった。奥に、入れないところがあったから」

「玄兎」

 横から透羽の低い声が飛んだ。

「講義中です。続きは後で」

「……分かってる」

 依澄は何事もなかったように前を向いたが、玄兎はその後しばらく教授の話が頭へ入らなかった。

 一限が終わると、千燈と小毬が廊下で待ち構えていた。

「依澄先輩。本当に玄兎先輩の夢へ入ったんですか?」

「入った」

「勝手に?」

「寝ていたから」

「それ、許可になってないからな」

 玄兎が言うと、依澄は本気で分からないらしく首を傾げた。

「寝ている時に夢へ入られるの、嫌?」

「普通は驚く。次からは先に聞いて」

「分かった」

 依澄は少し考えてスマートフォンを取り出す。

「じゃあ連絡先、交換する?」

「反省からそこへ行くの早くない?」

「連絡できないと、聞けない」

 理屈は通っている。玄兎は思わず透羽を見た。

「なぜ私を見るのですか」

「いや、何でもない」

 連絡先には『蝶ヶ森依澄』と表示された。アイコンは薄紫色の蝶だった。

「写真じゃないんだ」

「写真、苦手」

「嫌い?」

「写るたびに、少し顔が違うから」

「怖いことをさらっと言うな」

 千燈の目から笑みが消える。

「依澄ちゃん。大学に来る前は、どこにいたの?」

 依澄は口を開きかけ、止まった。

「……分からない」

「高校は?」

「分からない」

「家族は?」

 今度は答えが出なかった。

 小毬がそっと千燈の袖を引く。

「千燈先輩。今は」

「……そうだね。ごめん」

「謝る必要ある?」

「あるよ。人が困ってるのに、秘密の方が気になったから」

 依澄は少しだけ考え、その言葉をスマートフォンへ打ち込んだ。

「記録するの?」

「忘れるかもしれないから」

 その一言だけが、妙に重く残った。

 昼休み。五人は初めて同じテーブルを囲んだ。

 小毬が唐揚げを一つ差し出すと、依澄はためらいなく受け取り、一口食べた。

「……好き」

「やった!」

「昨日はカレーが好きだった」

「毎日変わるの?」

「朝になると、好きなものとか、理由とかが少し変わってることがある」

 依澄の返事には、自分のことを説明しているというより、自分でも観察しているような響きがあった。

 透羽が訊く。

「夢へ入る以外には、何ができますか」

「人が頭の中に持っているものを、少し外へ見せられる。眠ってる相手なら、もっと深く」

「大きく使った時の負担は?」

 依澄は自分の胸元へ指を置いた。

「私が薄くなる。先に、周りの人が私を思い出しにくくなる」

「怖くないですか?」

 小毬がすぐに訊いた。

「忘れられた時は、怖かったことまで曖昧になるから、よく分からない」

 小毬は依澄の袖をつまんだ。

「じゃあ、今日の依澄先輩は私が覚えます。唐揚げを食べて『好き』って言ったことも、玄兎先輩の夢に勝手に入って怒られたことも」

「怒ってない」

「注意されたこともです」

 小毬は言い直し、依澄をまっすぐ見る。

「匂いも覚えます。でも、匂いだけじゃなくて、今日何をした人かも一緒に覚えます」

 依澄は何度か瞬きをしてから、小さく笑った。

「それなら、安心」

 その時、隣のテーブルから女子学生の声が聞こえた。

「また寝てる……昨日もじゃない?」

 壁際のソファ席に、男子学生が突っ伏していた。片手にはスマートフォン、耳にはワイヤレスイヤホン。声をかけても起きる気配がない。

「知り合い?」

 玄兎が訊くと、女子学生が困った顔で頷いた。

「同じゼミの先輩です。最近ずっとこれで」

 見せられた画面には、淡いピンクの背景と三日月、その下に『DREAM DATE』という文字があった。

「理想の恋人と夢の中で一週間暮らせるっていうアプリです。公式じゃなくて、学内で共有リンクが回ってて」

「怪しすぎるだろ」

「最初は睡眠誘導のジョークアプリみたいな感じだったんです。でも西園寺先輩、何度も使うようになって……最近『夢の方が幸せ』って言うんです」

 依澄の表情が変わった。

「それ、よくない」

「夢を見ることが?」

「違う。帰りたくないと思いながら、同じところへ何度も戻ってる。それに、この人だけが帰りたくないんじゃない」

 依澄は眠る学生――西園寺拓海を見つめる。

「向こうも、この人を離したくないみたい」

 透羽はすぐに立ち上がった。

「ここで推測を重ねるより、保健管理センターへ移しましょう」

 西園寺の脈拍と呼吸は安定していた。しかし、透羽が額へ水滴を触れさせると、その表面が細かく震えた。

「怪異反応があります。スマートフォンだけではなく、本人の周囲に夢の残滓が付着しています」

 依澄がベッドの横へ座る。

「中へ入れば、帰る道を探せる」

「一人では行かせません」

 透羽が即座に止めた。

「戻れる保証がありません」

「なら俺も行く」

 玄兎が言うと、透羽の視線が鋭くなる。

「あなたまで危険を増やしてどうするのですか」

「依澄は俺の夢へ入ったことがある。俺なら一緒に入れる可能性があるだろ。それに、西園寺先輩を連れて帰るなら一人より二人の方がいい」

「可能性だけで決めないでください」

「だから外から支えてほしい」

 透羽が言い返すより先に、千燈がスマートフォンを見せた。

「その前に一つ。アプリの共有ページから作成者まで辿れた。心理情報研究会の須藤圭、三年」

「連絡できますか」

「もうしてる」

 十分ほどで、青ざめた男子学生が保健管理センターへ駆け込んできた。

「俺、こんなことになると思ってなくて……!」

 須藤の説明によれば、『DREAM DATE』は生成AIによる会話シナリオと睡眠誘導音声を組み合わせた実験だった。利用者が理想の相手を設定し、環境音と短い音声を聞きながら眠る。ただそれだけのはずだったという。

「一週間分の夢を作る機能なんてありません。最初に使った人が『体感では何日も一緒にいた』って言い出して、それが面白がられて……」

「元の音声は?」

 千燈が訊く。

「研究会の古い備品に残ってたデータです。雨とか波とか、寝息とか。短い声も入ってました」

「どんな?」

 須藤は記憶を探るように眉を寄せる。

「女の子の声で……『おやすみ』『今日も会えるよ、夢の中なら』って」

 依澄が顔を上げた。

「それ」

「分かるの?」

「この人の夢の奥から、同じ声がする」

 須藤はその場でサーバーと共有ページを停止した。しかし西園寺は起きない。依澄は目を閉じ、しばらくして小さく首を振った。

「もうアプリだけの夢じゃない。使った人たちの『帰りたくない』が、向こうでつながってる」

 透羽は短く息を吐いた。原因を調べるために別の場所へ行く必要はない。少なくとも、止めるべきものは西園寺の夢の中にある。

「分かりました。入るのは玄兎と依澄さん。私たちは外に残ります」

 透羽は玄兎と依澄の手首へ一滴ずつ水を落とした。

「この冷たさを覚えておいてください。異常があれば外から刺激を強めます」

「私は匂いと呼吸を見ます!」

 小毬が胸を張る。

「玄兎先輩が遠くなっても、今日ここへ来た玄兎先輩のことまで見失わないです」

「私は必要なら玄兎くんの血から感情の揺れだけ拾う。深くは読まない」

 千燈が続ける。

 依澄は玄兎へ手を差し出した。

「中では離さないで」

「分かった」

「勝手に走らないで」

「それは俺の台詞じゃない?」

「先に言った方が勝ち」

「そういうルールあるの?」

 依澄は少しだけ笑った。

「《夢蛹》」

 薄紫色の蝶が、二人の重ねた手の上へ舞い降りる。

 最後に玄兎が感じたのは、依澄の指先と、手首に残る水の冷たさだった。

「……朝?」

 玄兎が目を開けると、見知らぬ天井があった。

 薄いカーテン越しの朝日。柔らかなベッド。そして右隣には、依澄が眠っていた。

「……え?」

 玄兎は反射的に上半身を起こした。同じベッドだった。

 その声で依澄も目を覚ます。

「おはよう、玄兎」

「おはようじゃなくて。何で同じベッドなんだよ」

「夢だから?」

「疑問形で返すな」

 二人が起き上がると、部屋は妙に生活感のある1LDKだった。薄いカーテンは朝の風に揺れ、テーブルには使いかけの角砂糖と二人分のマグカップが並んでいる。ソファには色違いのクッションが二つ。洗面所の棚には歯ブラシまで二本あった。

 何より気味が悪いのは、どれも新品ではないことだった。マグカップの片方には口紅ではなく薄い茶渋がつき、ソファの片側だけ少し沈み、玄関には玄兎のものらしいスニーカーと、依澄が履いているものと同じ形の靴が並んでいる。二人がここで何日も暮らしてきた痕跡だけが、記憶より先に用意されていた。

 棚には写真立てもあった。海辺で笑う二人。遊園地の観覧車。大学の中庭。夜景の見える場所で肩を寄せている写真まである。どれも玄兎には覚えがないのに、写真の中の自分は不自然なほど楽しそうだった。

「記憶にないぞ、これ」

「私も」

 依澄は写真へ触れずに眺めた。

「西園寺先輩の夢に入った時、手をつないでたから、私たちのイメージまで混ざったのかも」

「一緒に入るとこうなるの、先に知りたかった」

「私も初めて」

 玄関へ向かうと、足元に一枚の紙が落ちていた。

『恋人生活 一日目』

 二人で黙って見る。

「……俺たちまで巻き込まれてない?」

「恋人らしい」

「らしい、じゃない」

 玄兎がドアノブへ手をかけるが、扉は開かなかった。依澄が部屋を見回し、テーブルの朝食へ目を向ける。

「たぶん、先に食べないと進まない」

「夢のくせに手順が細かいな」

 仕方なく二人で座る。トーストは香ばしく、目玉焼きにはちゃんと塩気があった。

「夢でも味するんだ」

「する」

「戻ったら腹減ってそうだな」

「じゃあ、また食べる」

「今日は卵好き?」

「今日は好き」

「明日は?」

「分からない」

「毎日聞かないと駄目だな」

 依澄はフォークを止めた。

「玄兎なら、毎日聞けばいい」

「……俺が?」

「嫌?」

「別に嫌じゃないけど」

 依澄は少し笑った。

 その瞬間、玄関の鍵が勝手に開いた。

「朝ごはんが正解だったのか」

「恋人は一緒にご飯を食べる?」

「場合による」

「また、場合による」

「恋愛に固定ルールはないんだよ」

 玄関を抜けると、そこは大学の講義棟だった。

 さっきまでアパートだった扉の向こうに、見慣れたはずの廊下が真っ直ぐ延びている。窓から差す日差しは明るいのに、影の向きがどこかおかしい。掲示板には読めそうで読めない文字が並び、自動販売機の商品名も視線を外した瞬間に変わった。

 大勢の学生がいるのに、誰の顔もはっきりしない。笑っているらしい。話しているらしい。それなのに誰一人、玄兎たちと目が合わない。近くを通り過ぎた学生の声も、意味を聞き取ろうとした途端にざらついた雑音へ変わった。人の形だけ借りた背景が、大学らしさを埋めるために配置されているようだった。

「西園寺先輩は?」

 依澄は目を閉じた。

「こっち。『一人になりたくない』が強いところ」

「本人の気持ち?」

「一人分じゃない。いっぱい重なってる」

 玄兎は依澄の手を握り直した。

「迷ったら言えよ」

「玄兎も」

「俺?」

「この夢、欲しいものを見せるから」

 依澄は廊下の窓から外を見た。現実では離れているはずの海が、大学のすぐ向こうで青く光っている。

「帰りたくなくなる人がいるの、少し分かる」

「依澄は残りたい?」

「今は帰りたい」

「どうして?」

「外に、まだ知らないことがあるから」

 玄兎はその答えを聞いて、少しだけ安心した。

 角を曲がると、景色が小さなカフェへ変わった。

 窓際に西園寺がいる。向かいには黒髪の女性が座り、穏やかな顔で笑っていた。

「西園寺先輩」

 玄兎が呼ぶと、西園寺は怪訝そうに顔を上げた。

「誰?」

「鵺代です。同じ大学の」

「知らない」

「現実で会ってます」

 西園寺は可笑しそうに笑った。

「何言ってるんだ。ここが現実だろ」

 女性が西園寺の手へ自分の手を重ねる。

「拓海。この人たち、誰?」

「知らない人。すぐ帰るよ、美咲」

 その名前を聞き、玄兎は向かいの女性を見る。

 綺麗で、優しくて、西園寺が望んだ言葉を望んだ瞬間に返してくれる。だからこそ、ひどく不自然だった。

「美咲さんとは、今も恋人なんですか」

 玄兎が訊くと、西園寺の表情が硬くなった。

「ここでは、そうだ」

「現実では?」

 沈黙が落ちた。

「……半年前に別れた」

 美咲が西園寺の手を撫でる。

「嫌なこと、思い出さなくていいよ」

 西園寺は縋るようにその手を握り返した。

「分かってるよ。ここが本物じゃないかもしれないことくらい。でも、戻ったって美咲はいない。俺はまた一人になるだけだ」

 玄兎は少し迷い、それでも言った。

「俺は本物の美咲さんを知りません。だから、先輩たちがどう付き合ってたのかも、どっちが悪かったのかも分からないです」

「だったら――」

「でも、目の前の美咲さんが、先輩に都合のいい答えしか返してないことは分かります」

 西園寺が息を詰める。

「本当に好きだった相手なら、嫌なところもあったんじゃないですか。怒られたことも、思いどおりにならなかったことも」

 美咲が微笑む。

「拓海。私は拓海の全部が好き」

 西園寺の顔が歪んだ。

「……俺のどこが嫌だった?」

「全部好き」

「そうじゃない」

「拓海の全部が好き」

「美咲は、そんなこと言わない」

 初めて、美咲の笑顔が止まった。

 西園寺は震える息を吐く。

「俺が束縛するの、嫌だって言ってた。友達といる時まで連絡してくるのがしんどいって。俺が不機嫌になるのが怖いって……最後にちゃんと言われた」

 玄兎は何も言わず待った。

「俺、美咲が好きだったんじゃなくて、自分を好きでいてくれる美咲が欲しかっただけかもしれない」

 西園寺は顔を覆い、しばらくしてから小さく言った。

「……帰りたい」

 その瞬間、壁の時計が止まった。

 午後一時十二分。

 窓の外を歩いていた学生も、コーヒーを注いでいた店員も、笑顔のまま動かなくなる。空調の音まで消え、世界から生活音だけを抜き取ったような静けさが落ちた。

 依澄が玄兎の袖を掴む。

「来る」

 美咲がゆっくり立ち上がった。

「拓海。帰るって、どういう意味?」

「俺は起きる」

「どうして? 私、拓海が嫌いなこと何もしないよ」

 一つ言うたび、窓の外の建物が白く薄れていく。

「大学も行かなくていい。就活もしなくていい。友達と会わなくていい。失敗しなくていい。寂しくならないよ」

 最後にはカフェだけが残った。

 窓の向こうは真っ白だった。隣の席も、レジも、入口もあるのに、その先へ続くはずの空間が消えている。テーブルの上のコーヒーからはまだ湯気が立っていたが、鼻を近づけても匂いがしない。温かそうに見えるだけの飲み物だった。

 壁へ、いつの間にか写真が並んでいた。西園寺と美咲が海で笑っている。旅行先で肩を寄せている。誕生日のケーキを挟んで向かい合っている。どの写真も幸福そうで、どの写真にも喧嘩した日や、返事を待って苛立った夜や、別れ話をした時の顔はなかった。

「私だけ見てればいい」

 美咲が西園寺の手首を掴む。

「痛っ……離せ!」

「どうして?」

「離してくれ!」

「拓海が望んだんだよ。ずっと一緒にいてくれる美咲が欲しいって」

 壁からも、天井からも同じ声が重なった。

『ずっと一緒』

『帰りたくない』

『一人になりたくない』

『愛されたい』

 男も女も混ざった声だった。近い声もあれば、隣室の壁越しのようにくぐもった声もある。眠りに入る前にスマートフォンを握りしめた誰かの寂しさが、ここだけへ集められている。

 壁の写真の端が白く滲んだ。最初に消えたのは、西園寺が友人たちと写っている写真だった。次に大学の講義室。母親らしい女性と食卓を囲む記憶。最後に、本物の美咲が泣きながら何かを言っている場面へ白い色が伸びていく。

「やめろ!」

 西園寺が叫ぶ。

「大丈夫」

 美咲は優しい声のまま答えた。

「嫌なことから消えるだけ。最後には、私との幸せなことだけ残るから」

 その優しさが、玄兎には今までで一番恐ろしく聞こえた。

 依澄が薄紫色の蝶を飛ばす。蝶が美咲へ触れた瞬間、黒く焦げたように崩れた。

「西園寺先輩一人の夢じゃない。使った人たちの気持ちが、みんなここへくっついてる」

 床が黒い水へ変わり、玄兎の足が膝まで沈んだ。

「玄兎!」

 依澄の手を強く握る。西園寺の足元からは白い腕が何本も伸び、椅子へ引き戻そうとしていた。

「西園寺先輩、こっち!」

 玄兎が腕を掴む。

「重い……!」

「身体じゃない。『帰りたくない』が重い!」

 依澄が叫んだ。

 その時、無数の声の奥から、ひどく小さな少女の声が聞こえた。

『おやすみ』

 依澄の表情が変わる。

「待って。これは、みんなより前からある」

『今日も会えるよ。夢の中なら』

 須藤が言っていた元データの声だ。

 依澄が片手を伸ばすと、空中に一枚だけ違う景色が浮かんだ。

 雨の病室。

 ベッドにいる十代半ばの少女と、その隣で小さなレコーダーを操作する青年。

『今日は、どこへ行きたい?』

『海』

『雨なのに?』

『夢なら晴れててもいいでしょ』

 次に見えたのは、同じ病室の空になったベッドだった。

 青年が一人でレコーダーを握り、少女の声を繰り返し再生している。

『今日も会えるよ。夢の中なら』

『……会いたい』

 さらに一瞬だけ、別の記憶が重なった。

 病室の窓へ雨粒が流れている。少女は細い腕でレコーダーを持ち、少し照れたように笑った。

『お兄ちゃん、私がいなくなったら、一人になるのかな』

 返事はない。これは兄へ聞かせるためではなく、誰もいない時にこぼれた独り言らしい。

『それは、やだな』

 その声まで残した機械を、兄は妹がいなくなったあとも手放せなかった。

 短い記憶はそこで途切れた。

「最初は、閉じ込める願いじゃない」

 依澄が言う。

「会えない人に、夢でもう一度会いたかっただけ。それに、妹の方も、お兄さんを一人にしたくなかった」

「それが、今の利用者の『帰りたくない』と重なった?」

「うん。『また会いたい』が、『ずっとここにいたい』へ変わった」

 美咲の顔が一瞬だけ別の少女の顔へ揺れた。

 その奥で、幼い声がかすかに響く。

『夢から帰れたら、また夢を見られるよ』

 玄兎は息を呑んだ。

 夢は、現実から逃げ切るために残されたものではなかった。会えない間だけ、少し会うための場所だった。

「西園寺先輩!」

 玄兎が声を張る。

「ここにいるために、美咲さんを忘れるんですか!」

 西園寺は壁に浮かぶ写真を見る。幸せそうな自分と美咲。けれど、どの写真にも喧嘩した日も、困った顔も、最後に言われた言葉も残っていない。

 白い滲みが、本物の美咲の泣き顔へ届く。

『もう連絡しないで』

 かすかな声が聞こえた。西園寺は顔を歪めたが、目を逸らさなかった。

「……嫌だ」

「何が?」

 美咲が訊く。

「俺に怒った美咲まで消えるのが嫌だ。別れたことも、嫌われたことも、ちゃんと俺の記憶だ」

「私なら許すよ」

「それが嫌なんだ!」

 西園寺が叫んだ。

「何でも許す美咲じゃなくて、俺に怒った美咲の言葉を覚えていたい!」

 白い腕が一瞬だけ緩む。

「今!」

 依澄が叫んだ。

 玄兎は西園寺を引き寄せる。だが、美咲の腕が異様な長さに伸び、西園寺の背中へ回った。

「拓海。お願い。置いていかないで」

 初めて美咲が泣いた。

 西園寺の表情が揺らぐ。

 玄兎は歯を食いしばる。

「それに答えるのは、起きてからです! 夢の美咲じゃなくて、現実の自分で決めてください!」

 西園寺は目を閉じた。

「……帰る」

 カフェ全体が大きく軋んだ。

 同時に玄兎の手首へ、痛いほどの冷たさが走る。

 保健管理センターでは、玄兎の心拍が急に跳ね上がっていた。

「玄兎先輩の匂いが遠くなってます。でも、まだいます!」

 小毬は眠った玄兎の顔から目を離さず、今日一日の匂いを確かめるように何度も息を吸った。焼肉の残り香、学食、乾いた紙、そして依澄とつないでいる手の汗。どれもまだ現実側に残っている。

 千燈は玄兎の指先へ触れ、ほんのわずかな血の気配だけを拾った。

「怖がってる。でも、帰る方向は失ってない。誰かを引っ張ってる感じがする」

 透羽は二人の手首へ落とした水を細い線でつなぎ、呼吸の乱れを見つめていた。

「なら、こちらから道を太くします」

 水が冷たく光る。

「玄兎。依澄さん。聞こえるなら、冷たい方が現実です」

 玄兎の手首へ、痛いほどの冷たさが走った。

「透羽……!」

 現実側からの水だ。

 遠くから声が届く。

『玄兎! 依澄さん! 西園寺さん!』

『こっちです! 帰ってきてください!』

 小毬の声。千燈の声。

 依澄が目を閉じた。

「今なら、最初の願いと、あとから絡んだものを分けられる」

「できる?」

「一人なら怖い。でも今は、外も玄兎もいる」

 依澄は玄兎の手を握ったまま、空いた手を前へ伸ばす。

「《蝶境》」

 薄紫色の蝶が、病室の小さな記憶だけを包むように舞った。

 その外側へ絡みついていた『帰りたくない』『離したくない』という声が、細い糸のように浮かび上がる。

「透羽。今!」

 現実から、透羽の声が返る。

『分かりました』

 手首の水が白く光った。

『《白鷺浄界》』

 光が夢の中へ流れ込み、病室の記憶を傷つけず、その周囲に絡みついた黒い糸だけを断ち切っていく。

 美咲の身体から力が抜けた。

 最後に彼女は、西園寺ではなく、どこか遠くを見るような表情をした。

 それが本物の美咲の顔だったのか、元の少女の面影だったのか、玄兎には分からなかった。

「帰って」

 小さな声がした。

 次の瞬間、カフェも黒い水も白い腕も、光の中へほどけていった。

「走って!」

 依澄の蝶が一本の道を作る。

 玄兎は依澄の手を離さず、反対の手で西園寺を引いた。

 背後からもう「帰さない」という声はしなかった。

「玄兎!」

 透羽の声で目を開けた。

 白い天井。保健管理センター。手首に残る水の冷たさ。

「……戻った」

 隣では西園寺が跳ね起き、荒い呼吸を繰り返していた。

「帰る……俺、帰るって……」

「西園寺先輩。ここは現実です」

 玄兎が声をかけると、西園寺は数秒かけて彼の顔を認識した。

「……美咲は?」

「いません」

 西園寺は目を閉じ、大きく息を吐いた。安心と悲しさのどちらともつかない顔だった。

「そっか」

 それ以上、夢の美咲について確かめようとはしなかった。

 玄兎は隣を見る。依澄はまだ目を閉じているが、つないだ手は弱く握り返してくる。

「依澄」

 長い睫毛が揺れた。

「蝶ヶ森依澄」

「……鵺代玄兎」

「そう。帰ったぞ」

 依澄がゆっくり目を開ける。

 顔色は白く、輪郭も朝よりわずかに淡く見えた。玄兎はその変化に気づいて、つないだ手へ力を込める。

「手、離してない」

「約束したからな」

 小毬が勢いよく近づいてきた。

「玄兎先輩! 西園寺先輩! それから……」

 言葉が止まった。

 小毬は依澄を見て、困ったように眉を寄せる。

「……誰、でしたっけ」

 玄兎の胸が冷えた。

「依澄だよ。蝶ヶ森依澄。今日一緒に唐揚げ食べただろ」

「今日……?」

 小毬は何度か鼻を動かす。やがて目を見開いた。

「夢みたいな匂い……あ、依澄先輩!」

「うん」

「ごめんなさい!」

「いい。戻ったから」

「よくない」

 玄兎自身、思ったより強い声が出た。

 依澄が彼を見る。

「慣れてる」

「だから嫌なんだよ」

 玄兎はつないだ手を見た。

「夢の中で一緒に朝飯食った。西園寺先輩を助けた。ここへ帰ってきた。それを、依澄が薄くなったからって最初からなかったことにしたくない」

「夢なのに?」

「夢でも、俺は覚えてる。だったら俺にとっては、ちゃんとあったことだろ」

 依澄の瞳が、ほんの少し揺れた。

「じゃあ」

 彼女は真剣な顔で訊いた。

「夢の中で恋人だった人は、現実でも恋人になる?」

 部屋が静まり返った。

「待って。何でその話になる」

「同じベッドで起きた」

「同じベッド!?」

 小毬の声が跳ねる。

「白狼院さん、声が大きいです」

 透羽の声は妙に静かだった。

 千燈は肩を震わせて笑っている。

「玄兎くん。夢の中で何日付き合ったの?」

「朝飯一回だけ! 写真は夢が勝手に作ってた!」

 依澄は首を傾げる。

「恋人って、何をしたらなる?」

「それ、今日決めなくていいから」

「好きなら?」

「まず、その好きが何か知ってからだろ」

「分かった」

 依澄はスマートフォンへ、

『知っている気がする ≠ 恋人』

 と打ち込んだ。

「そこメモする?」

「大事」

 西園寺は隣のベッドで一連の会話を聞いていたが、やがて小さく笑った。

「……夢の中より、こっちの方がうるさいな」

「すみません」

「いや」

 西園寺は自分のスマートフォンを見る。

「でも、今はこっちの方がいい」

 その言葉だけで十分だった。

 須藤から連絡が入ったのは、その直後だった。

『ほかの利用者、順番に起き始めてます。寝たままだった人も反応が戻りました。例の音声データは隔離して、共有リンクも消します』

 念のため研究会室へ移動して確認すると、古いヘッドセットへ近づけた透羽の水はもう震えなかった。須藤は何度も謝ろうとしたが、透羽は原因の特定と利用者への連絡を優先するよう告げた。

 玄兎は、古びた機械を見ながら病室の少女を思い出した。あの兄妹の願いそのものが悪かったわけではない。誰かに会いたいと願った記憶へ、何人もの寂しさが積み重なり、いつの間にか帰り道を塞ぐほど重くなった。

 それ以上、同じことを確かめるためにもう一度夢へ潜る必要はなかった。

 一度帰ると決めて、ちゃんと帰れた。

 それで、この事件は終わった。

 夕方、五人は学食の端に集まっていた。

 依澄はオムライスと唐揚げのメニューを交互に見比べ、結局唐揚げを選んだ。

「今日はまだ好き」

「明日は変わるかもな」

「じゃあ明日も聞いて」

 玄兎が答える前に、小毬が勢いよく手を上げた。

「私も聞きます!」

「群れの健康管理?」

「好みの把握です!」

 千燈が笑う。

「依澄ちゃん、昼から恋人を勉強してたけど、結論出た?」

「まだ」

「何が分からない?」

「帰りたい場所になる人、って恋人?」

 千燈の笑みが一瞬だけ静かになった。

「そういう人もいると思うよ」

「群れを作る人は?」

「それは恋人じゃなくてもできます!」

 小毬が即答する。

「信頼と生活と感情を――」

 透羽が口を開いた瞬間、小毬が慌てて止めた。

「透羽先輩、定義は短めでお願いします!」

「まだ何も説明していません」

 依澄は四人を順番に見た。

「じゃあ、今は恋人じゃなくてもいい」

「急に納得したな」

 玄兎が訊くと、依澄は小さく頷く。

「今日、夢の中より、ここへ帰りたいと思ったから」

 その答えに、玄兎は少しだけ目を見開いた。

「それなら十分じゃない?」

「十分?」

「今は」

 依澄はその言葉を確かめるように繰り返した。

「今は」

 透羽は食事のあと、玄兎だけを図書館へ呼んだ。

 依澄の学生記録を確認するためだった。

 大学の名簿には名前がある。学生証も有効で、教授も同級生も彼女を知っている。それなのに、入学試験や推薦、高校、緊急連絡先へ遡ると記録が不自然に途切れていた。

「普通なら学生証まで発行できないよな」

「はい。ただ、今の時点で分かるのは『記録が不自然』ということだけです」

「もし依澄が怪異だったら?」

 玄兎が訊くと、透羽は少し考えてから答えた。

「警戒はします。ただ、正体が怪異であるという理由だけで祓うことはしません。少なくとも今日、彼女は西園寺さんを現実へ帰そうとした。それも事実です」

「変わった?」

「何がですか」

「俺と会って」

「自意識過剰です」

「ひどい」

 透羽は端末を閉じかけ、一拍置いた。

「影響が全くないとは言いません」

 玄兎が笑うと、透羽はわずかに目を逸らした。

「何ですか」

「ちょっと嬉しい」

「そういう言葉を無自覚に言うのは、あまり感心しません」

「何で?」

「自分で考えてください」

 透羽は先に立ち上がった。耳が少し赤い理由は、玄兎にはまだ分からなかった。

 大学を出る前、依澄は中庭のベンチへ一人で座り、スマートフォンを開いた。夕方の熱が残る石畳を風が抜け、遠くでは運動部の掛け声が聞こえている。夢の中の静かすぎる街とは違って、現実は少し騒がしかった。

 今日一日のことを忘れないように、短い言葉で残してある。

『唐揚げは好きだった』

『夢へ入る前は許可を取る』

『忘れないことと、帰らないことは同じではない』

『玄兎は錨になった』

 最後の一行を見て、少し考える。

 夢の中で見た朝。二人分の朝食。つないだ手。西園寺を引っ張りながら、何度も自分の名前を呼んだ声。

 それを「恋人だった」と呼ぶのかは、まだ分からない。

 けれど一つだけ、昼よりはっきりしたことがある。

 また夢を見たい、ではなかった。

 明日、現実で会いたい。

 依澄はメッセージ画面を開く。

『玄兎。明日も一緒にご飯を食べる?』

 送ってから、少しだけ待った。

『いいよ。明日は何が好きになるか当てよう。』

 返信を読んだ瞬間、胸の奥に小さな温度が生まれた。

 依澄はそこへ指を当てる。

「これも、覚えておこう」

 まだ名前のない感情を、今夜は無理に決めなかった。

 夢の続きを待つのではなく、現実の明日を待つ。

 それだけで、十分だった。

――第五話・了

👥 登場人物紹介ネタバレを抑えた基本プロフィール
鵺代玄兎

CHARACTER 01

鵺代玄兎

ぬえしろ げんと

現実的で、妙な状況でもまず話を整理しようとする常識人寄りの青年。突然の怪異や騒動には戸惑いながらも、困っている相手を放っておけない。深刻な場面でも自然にツッコミが出るタイプ。

  • 物語の主人公
  • 朽木ヶ丘大学の学生
  • 常識人寄りのツッコミ役
俺が何者でも、困ってる人を置いていく理由にはならない。
鷺宮透羽

CHARACTER 02

鷺宮透羽

さぎみや とわ

冷静で生真面目。怪異への警戒心が強く、必要なことははっきり言う。危険な場面では自分が前に出ようとする、責任感の強い少女。

  • 朽木ヶ丘大学の学生
  • 鷺宮家の退魔師
  • 礼儀正しいがやや堅い
私が間に合う時は、あなたを死なせません。
緋鴉千燈

CHARACTER 03

緋鴉千燈

ひがらす ちとせ

余裕のある笑みを浮かべ、人をからかうのが上手な先輩。自然に距離を詰めてくる、つかみどころのない雰囲気を持つ。

  • 玄兎たちの先輩
  • 赤褐色の瞳
  • 人をからかうのが得意
秘密って、暴くより自分から話してもらう方が面白いよ。
白狼院小毬

CHARACTER 04

白狼院小毬

はくろういん こまり

明るく人懐っこい一年生。気になったことはすぐ口にし、匂いを確かめることに夢中になると相手との距離感まで忘れがち。

  • 朽木ヶ丘大学の一年生
  • 非常に鋭い嗅覚
  • 人懐っこく表情豊か
匂いは嘘をつきません。だから、何度でも見つけます!
蝶ヶ森依澄

CHARACTER 05

蝶ヶ森依澄

ちょうがもり いすみ

静かで穏やか、言葉数は少なめ。初対面からどこか不思議な印象を残し、感情表現は控えめだが答え方は率直。

  • 朽木ヶ丘大学の学生
  • 淡い青紫の瞳
  • 物静かでマイペース
今日が初めてなら、明日また会えばいい。

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